海の都の物語第六巻を読む


著者:塩野七生
出版社:新潮文庫

見開き要約

6巻の要約

ヴェネツィア共和国はトルコ帝国との争いで、交易拠点を次々に失い始める。海外交易市場の主導権もイギリス、オランダに譲り、衰退の兆しは誰の目にも明らかだった。そしてフランス革命に端を発したヨーロッパ世界の動乱。ナポレオン率いるフランス軍の圧力を前にして、かつて「地中海の女王」とさえ呼ばれたヴェネツィア共和国の命運は尽きつつあった……。歴史大作の完結編。





目次

6巻の目次

カバーの絵画について

第十二話 地中海最後の砦
法王庁に抗して/クレタ攻防戦

第十三話 ヴィヴァルディの世紀

第十四話 ヴェネツィアの死

エピローグ

簡略年表/参考文献/図版出典一覧

解説 池内 恵


感想

ついに読み終わってしまった。「ローマ人の物語」もそうだったが、やはり読み進めて親近感が沸いた後だけに、滅亡の話は悲しい。
なにせそれまではピンチにも生き延びてきた話だったわけだから、その差はあまりにも大きい。
クレタの攻防戦はトルコ、そして滅亡はなんとあのナポレオン、よもやここでナポレオンとは思っていなかったので、意外や意外だった。
そもそもフランス革命後まで生き延びていたのというのも驚異的でもある。
しかし最後くらいは海洋国としての最期を見せて欲しかった。というのも歴史に対する今更であるのだろうけど。

中立非武装の理想は、やはり相手次第というのも筆者の主張とも重なっているのだろう。やはり現在の日本を思い浮かべずにはいられなかった。
国が消えればヴェネツィア人という特徴をもった国民も消失してしまう。これはローマ人とも相通ずる。
ではいったい国家国民性とはなんなのか。ローマ人やヴェネツィア人、現在イタリア人、戦前日本人、戦後日本人などを観るに付けても どうにもそれは国という社会システムが生み出す気質なのであって、血脈による民族性ともまた全然別のような気がする。


(2015年7月記す)




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