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「阿片王 満州の夜と霧」を読む


著者: 佐野眞一
出版社:新潮社

満洲帝国において、阿片密売を一手についに阿片王と呼ばれるまでに至った里見甫[はじめ]について記した伝記。
そのこの謎に満ちた人物の持つ大仰な肩書きと本書の探偵小説的な副題(団子坂の怪人、異形の人脈、男装の麗人、魔都放浪、秘密工作、アヘンの国、不逞者、風雲の上海、孤高のA級戦犯、女人変転、家計図の迷路、石つぶて)が示すようにスパイ暗躍的な活躍を記したものを想像しがちだが、他の金銭と時代に流されただけの有名人と対比させつつ、断固たる意思を持つ里見の生き方を好意的に描いているように見える。
が、里見の謎は結局解明しきれず物足りないものがあり、結局本書の大部分を(里見と関わったとはいえ本書メインに関係ない)男装の麗人梅村淳を追いかけすぎたところにバランスの悪さを感じざるをえない。もっとも、里見甫と阿片というまさに謎に包まれたいた満洲の夜と霧にメスを入れた点は大いに評価できる面白い作品と言えるだろう。
(2006年4月記す)






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