「国家の品格」を読む


著者: 藤原正彦
出版社:新潮新書

国家というか全ての個人、家族、日本人、地球人に捧げるべき本なのかも知れない。
戦後六十年、日本は米国追従姿勢と経済第一主義、そして自虐史観を植え付けてきた教育とマスコミ攻勢により、誇るべき所を見失ってしまった。その失われたものを思い出させる一助になる一書になる。

特に感銘したのが数学と美的感覚の関係。これはソフト業界でもマジマジと感じるところでもある。日本庭師の感覚もあげているが、これも同様だろう。日本人の力はこういう点に生かされるべきだ。
それに論理を絶対視せず、自由や平等や民主主義と言った綺麗事にうつつを抜かさずといったところなどもいちいち頷かざるを得まい。
ただ旧制高校などの真のエリート論や日本程度の些細な経済格差にイチャモンを付けることなどには賛同しかねる点もある。(真エリートについては本年本月の日記に書いたような対策が必要が信ずる限り)
(2006年2月記す)


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