「女たちの大和」を読む


著者: 辺見じゅん
出版社:ハルキ文庫

当事者及び戦争遺族の悲劇が伝えるドキュメント。
独立した十篇の話から構成されている。
大和に関係あるもの二篇であるが、残り8篇も大東亜戦争の悲劇に見舞われた普通の人々・家族達の悲痛の叫びである。
いずれにも浮かび上がるのは我々は戦争の実体をもっと知るべきだということである。体験していないから真にはわかりはしないが、想像してみるだけの材料を誰もが記憶に残しておくべきなのだ。
戦争は悪だが、その中で家族の幸福を摸索しか生きる道が無かった時代について考えるべきなのだ。それを何もかも中身は軽んじて彼らの生き様を単純に被害者、犬死だとして平和を語るのは大いに間違っているのである。もっと早くに気付くべきだった。しかしこれからは大東亜戦争について多角的に捉えていこうかと考えている。
(2006年5月記す)


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