「新版 法隆寺は移築された 太宰府から斑鳩へ」を読む


著者: 米田良三
出版社:新泉社

なんと法隆寺は、太宰府の観世音寺から移築されたものだったという説を論証したのが本書。
日の出ずる所の天子である上宮法皇にスポットを当てた太宰府を首都とした古代倭国を論証の基礎としているので、予備知識がないと、完全に何を書いているのかが全くわからなくなるだろう。
つまりは下敷きに古田学説の九州王朝説があるので、読前にその最低限の知識は欲しい所だ。太宰府からの移築説が九州王朝を証拠づける面もありながらも、そもそもの根拠が九州王朝に依っているところが多いからだ。正直古代史は謎が多い。と言うより謎しかない。そういう状態であるので、この九州王朝説は私的には非常に面白い話であり、説得力もあるように思われる。今後発見されれば爽快だろうナァ、とは思う。
もっとも現状は妄想の生んだ九州王朝を無理矢理支持するための論証に見える点も多々あるが。
(2004年7月記す)






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