「藤原氏の正体 名門一族の知られざる闇」を読む


著者:関裕二
出版社:東京書籍

藤原氏の正体を探ると言う意味で衝撃的推理が用意されているのが本書。
歴史を知るものなら知識として知っているだろうが、この藤原氏の平安時代の所業はあまりにも酷かった。それが鎌足、不比等時代からそうだったというのだから。
そして正体はお馴染みというか同時代に日本に来ていたあの人物。推理の材料はあまりに少なすぎるが、たしかに辻褄は間違っていない。歴史書に登場する人物を当てはめるならば他にいないくらいの候補ではある。
そして中大兄皇子と鎌足の姿勢というのも昨今の見方では頷ける点がある。よもや奈良時代は天武系の時代と思いきや、こういうことかと納得させられる部分もあったりした。
それにつけてもいかに教科書的な歴史があまりに面白みに欠けるのかがわかってしまう。歴史教師は楽しそうだと思ったこともあったが、案外苦痛なのかもしれない。自説を教えることも出来ず、延々と通史をやり続けるしかないのだから:::。まぁ仕事としての割り切りがあればよいのだろうが。
通史に詳しいのは前提と考えると通史は知識としてベースにしておくべきなのは間違いないが、歴史好きとしてはこれらの書籍を読み、全てを信じるわけでもなく、でもすぐれた考証については様々な応用に生かし、ともかく歴史ロマンの一助になればそれでよいということだろう。
(2007年3月記す)






古代史の夢トップへ