文庫版「ローマ人の物語 勝者の混迷」を読む


著者:塩野七生
出版社:新潮文庫

文庫版で読んだため、6巻(上)、7巻(下)に相当する。

見開き要約

<6巻(上巻)>の見開き要約

ローマ人の物語――グラックス兄弟の悲劇、若き護民官の挑戦と挫折。

紀元前2世紀半ば、強大国であったカルタゴを滅亡させ、ローマは地中海世界の覇者と呼ばれるようになっていた。しかしそのローマも次第に内部から病み始める。名将スキピオ・アフリカヌスの孫であり、若き護民官となったティベリウス・グラックスは、改革を断行すべく、強大な権力を握る元老院に挑戦するが、あえなく惨殺される。遺志を継ぎ護民官となった弟ガイウスの前にも「内なる敵」は立ちはだかる。

<7巻(下巻)>の見開き要約

ローマ人の物語――ローマの秩序再建に全力で挑んだ男たち。

前一世紀初頭、ローマは内外で混迷の度を深めていた。同盟者戦役に続き、小アジアではミトリダテス戦役が勃発、ローマも内乱状態に陥る。戦役に勝利した名将スッラは反対派を一掃。前81年、任期無期限の独裁官に就任し、ローマの秩序再建のため、国政改革を断行する。しかし「スッラ体制」は彼の死後間もなく崩壊。この後登場するポンペイウスは、ローマの覇権拡大を果たしたが……。





目次

<6巻(上巻)>の目次

カバーの銀貨について
読者へ
序章
第一章 グラックス兄弟の時代(紀元前一三三年〜前一二〇年)
第二章 マリウスとスッラの時代(紀元前一二〇年〜前七八年)
図版出典一覧


<7巻(下巻)>の目次

カバーの銀貨について
第二章 マリウスとスッラの時代(承前)(紀元前一二〇年〜前七八年)
第三章 ポンペイウスの時代(紀元前七八年〜前六三年)
年表
参考文献
図版出典一覧



感想

カルタゴを滅ぼし、地中海の覇者になったローマに、迫っていたのは内なる崩壊の危機だった。 教科書に載るほど有名なグラックス兄弟の改革も反対勢力の強大な力の前に悲劇を生み出してしまう。 マリウスとスッラは悲劇的というしかない血で染まる内部対立をし、その間で東方の勢力は飲み込まれてしまった。 ポンペイウスやクラスッス、カエサルの三頭政治の時代までを繋ぐ本作は、歴史の中では地味だが重要な国のあり方を示してくれる。

(2012年9月記す)




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